日本の奇僧・快僧

日本の奇僧・快僧

ニホンノキソウ・カイソウ

講談社現代新書

生死を越える達観、悠然火中に赴く剛胆、修行が生む力(スーパーパワー)。道鏡、文覚、一遍、一休、快川等、日本の僧侶(アウトサイダー)たちの不可思議な魅力。

「一休ばなし」は何を語っているか──颯爽(さっそう)と生きて、しかもひとつひねった発言。民衆はしだいに一休にひきつけられていった。……京都に喉の病気を治す秘伝の方法を知っている老人があった。一休がぜひ教えてほしいと頼むと、「よろしい教えましょう。ただしこれは家伝来の秘法なので、決して他人に話さないと約束して下さい」という。一休は約束し、その秘伝の方法を教えてもらった。ところが、一休はその内容を立て札に書きつけて各地に立てたのである。先の老人が怒ると、「話さないと約束したが、書かないと約束した覚えはない」と答えたという。秘密主義・秘伝主義への批判である。……次のような話もある。京都の町の家々では、正月の三が日には表戸を閉めることになっているという。これは一休が髑髏(どくろ)を竹の先につけて、「ご用心、ご用心」といいながら一軒一軒のぞきこんだからである。……一休は、明日の命をも知れぬ人間社会の無常を突きつけて、生死を越える世界に目を開いてもらいたいと考えていたのである。──本書より


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目次

●知的アウトサイダーとしての僧侶
●なぜ僧になるのか
●道鏡──恋人は女帝
●親鸞──結婚こそ極楽への近道
●せぬは仏、隠すは上人
●僧の世界の身分差別
●一遍──捨てよ、捨てよ、捨てよ
●一休──天下の破戒僧
●快川──心頭を滅却すれば火も自ら涼し
●僧侶と日本人

書誌情報

紙版

発売日

1995年11月16日

ISBN

9784061492776

判型

新書

価格

定価:694円(本体631円)

通巻番号

1277

ページ数

224ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介