「大東亜共栄圏」の思想

「大東亜共栄圏」の思想

ダイトウアキョウエイケンノシソウ

講談社現代新書

「侵略」を「解放」と呼んだ「聖戦イデオロギー」を支え、拡めたのは誰か。当時の人々の心性を綿密な資料考証から描く。

「聖戦」のイデオロギー――そもそもこのような問題発言が、なぜ繰り返しなされるのであろうか。もしそれが、戦争中盛んに宣伝された「聖戦」論の一面を率直に表現したもので、しかも当時の国民に広く浸透していた常識に近い見解であったとするならば、問題の根は深く、そして重いとみなければならない。太平洋戦争は、全国民の自主的・積極的な参加・協力を不可欠な前提条件とする総力戦であった。いわゆる上からのファシズム化と総力戦を可能にした社会的要因の1つは、国策に賛同・協力せざるをえないような非常時の社会的風潮の全国的な高まりだったように思われる。――本書より


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目次

●対外膨張主義の源流
●「アジア主義」という理想
●「非常時」の社会的風潮
●非常時対策と風紀頽廃
●挙国一致の風潮
●太平洋戦争期の指導者の思想
●松岡の大東亜共栄圏論
●官僚の思想
●知識人と思想戦
●日中・太平洋戦争下の教員

書誌情報

紙版

発売日

1995年12月15日

ISBN

9784061492790

判型

新書

価格

定価:770円(本体700円)

通巻番号

1279

ページ数

216ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介