
捨聖・一遍上人
ステヒジリ・イッペンショウニン
- 著: 梅谷 繁樹

南無阿弥陀仏とただ一度(=一遍)唱えるだけで、極楽に往生すると説いた鎌倉仏教最後の祖師。族縁はすべて捨て去り、おどり念仏で全国をまわり、女人非人をも救済した希代の生涯を描く。
遊行と賦算――一遍は全国を旅した。ただ1人で念仏を勧めることを念仏勧進という。また、この仏法を説いて旅をすることを遊行という。念仏勧進に当たって「南無阿弥陀仏決定往生六十万人」と印刷した大人の人指し指大の紙のお札を配った。これを賦算と言っている。念仏勧進に必要な仏法の所持物以外は一物も持たなかったので、捨聖と言われるようになったのである。こうして、南は九州の大隅から北は奥州江刺に至るまで念仏札を配って歩いた。それは多く下駄ばきの遊行であった。人は胸に吸い込んだ空気を大きく吐き出すと、次はまた空気を吸い込む。一遍は一切を捨てることで、その空となった部分を念仏勧進で満たそうとしたのである。――本書より
- 前巻
- 次巻
目次
●捨聖の風貌
●山岳信仰
●模索の中の遊行
●熊野三山へ
●おどり念仏―遊行の盛行
●一遍と女人往生
●一遍と和歌・和讃
●一遍の臨終
●一遍の法語を読む
●一遍寂後の時宗
書誌情報
紙版
発売日
1995年12月15日
ISBN
9784061492813
判型
新書
価格
定価:694円(本体631円)
通巻番号
1281
ページ数
214ページ
シリーズ
講談社現代新書