
イスラム聖者
イスラムセイジャキセキ・ヨゲン・イヤシノセカイ
- 著: 私市 正年

中世のイスラム社会には数多くの聖者が存在した。ある聖者は雨を降らせる奇跡を行ない、またある聖者はひとびとの病を癒した。やがて彼らは民衆を先導し、時の権力と拮抗しうる力を持ちはじめる――これまでは光の当たらなかったイスラムの民衆の生き生きとした素顔を、聖者伝から読む。
イスラム史を読み直す――聖者は治癒や雨乞いという民衆の願いをかなえてやったり、民衆の盾となって権力者に抵抗することもあった。……従来イスラムの歴史研究では、年代記は事実に基づく記録であり、年代記の史料批判による研究が重視されてきた。一方、聖者伝は、ほとんどが架空の記録とされ、歴史資料として用いることは邪道とされた。……ここで私に課せられた仕事は、「聖者伝」という「ネガの画像」に光を当て、イスラム中世に広がっていた豊かな社会と生き生きとしたひとびとの顔を映し出すこと、そしてイスラム史の読み直しを試みることである。――本書より
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目次
●イスラムは厳格な宗教か
●生き生きとした聖者社会
●乞食と聖者
●人はいかにして聖者になるか
●バラカとは何か
●聖者のプロフィール
●聖者と奇跡
●社会の中の聖者たち
●聖者は歴史をどう変えたか
●現代への問いかけ
書誌情報
紙版
発売日
1996年02月20日
ISBN
9784061492912
判型
新書
価格
定価:694円(本体631円)
通巻番号
1291
ページ数
230ページ
シリーズ
講談社現代新書