
女人政治の中世
ニョニンセイジノチュウセイホウジョウマサコトヒノトミコ
- 著: 田端 泰子

将軍の正室、後家、あるいは生母として、武士階級の女性がどう政治と関わったか。北政所なども含めて描く。
御台所の権限――政子が想定する御台所像は、棟梁が全権を握り、無力な御台所がそのかたわらに寄り添う、というものではなかった。頼朝に知らせるべきことは、御台所にも知る権利がある、というものであった。御家人に対し住屋破却命令が出せるという検断権の掌握とならんで、内々の指示を与える権限をも、政子は主張したのである。文治元年以後、政子は頼朝とともに、正月には栗浜明神に参詣、2月には源頼朝が父義朝の冥福を祈って創建した南御堂の事始に渡御(出席)、10月、御堂供養導師本覚院公顕が鎌倉に下向したのに対面している。このように公的行事、特に神社や寺院への参詣は、頼朝と御台所の2人が出かけ、ついでに主だった御家人の家に立ち寄るなどして、主従関係の絆をより強めておくことが、以後、2人の手でなされているのに注目しておこう。――本書より
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目次
●北条政子――その人と政治
●後家の働き
●室町将軍家の御台と女房
●日野重子と今参局
●富子の登場
●応仁の乱と将軍家
●将軍家の分解と富子の立場
●御台富子の女房たち
●戦乱の世を生きた中世女性
●中世的女性の最後の輝き
書誌情報
紙版
発売日
1996年03月19日
ISBN
9784061492943
判型
新書
価格
定価:694円(本体631円)
通巻番号
1294
ページ数
230ページ
シリーズ
講談社現代新書