ケインズを学ぶ

ケインズを学ぶ

ケインズヲマナブケイザイガクトハナニカ

講談社現代新書

経済学者は、人間の性質や制度に関心が高く、資質において数学者、歴史家、哲学者であらねばならない。

経済学はモラル・サイエンスである――ところで、この手紙のなかには、さらに、経済学は「モラル・サイエンス」(moral science)であって、自然科学とは異なるという趣旨の文章が続くのですが、このモラル・サイエンスという言葉を直訳して「道徳科学」としたのでは、その意味を理解することはできないでしょう。モラル・サイエンスとは、かいつまんで言えば、アダム・スミスやディヴィット・ヒュームの時代から続く「モラル・フィロソフィー」(moral philosophy)の系譜に連なるもので、社会の一員としての人間を取り扱う学問を指しています。したがって、経済学が1つのモラル・サイエンスであるという場合、その意味するところは、人間社会の現象を経済的側面から研究する学問ということになるわけです。――本書より


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目次

●経済学者とはどんな人間か
●第1次世界大戦とヨーロッパ情勢
●大蔵省の国際金融問題担当へ
●『平和の経済的帰結』を出版
●新しい経済学への志向
●ケインズの『貨幣改革論』
●「有効需要の原理」の構想
●ケインズの最後の仕事
●新古典派総合――アメリカのケインジアン
●経済学はモラル・サイエンスである

書誌情報

紙版

発売日

1996年05月20日

ISBN

9784061493025

判型

新書

価格

定価:694円(本体631円)

通巻番号

1302

ページ数

190ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介