
名君の賢臣
メイクントケンシンエドノセイジカイカク
- 著: 百瀬 明治

貨幣経済が発達するとともに、江戸幕藩体制は綻び、軋みはじめる。財政難を救った吉宗・鷹山・田沼らの政策・人材登用法・生き方に学ぶ。
なぜ幕政改革が必要になったか?――江戸の武家社会は、周知のように米経済に立脚していた。彼らは、領内の農村で生産される農作物を年貢として吸いあげ、それを金銭に換えて消費生活を営んでいた……。そこへ、新たな経済体制として、貨幣経済、商品経済が急速に成長しはじめた。貨幣経済、商品経済は、国全体の経済規模を拡大する自律性をもち、商品の供給量の増大と物価の上昇をうながす。それに対し、武家の依存する米経済は、毎年の生産量がほぼ一定しているから、基本的に停滞性が強い。そのような因果関係により、米経済と貨幣経済の格差はたちまち逆転し、幕府・諸藩は足並みそろえて赤字財政に苦慮しなければならなくなったのである。さて、そうすると、経済を度外視する仁政では、こうした事態は解決できないことになる。政治・経済の両面にわたって、斬新な手法が必要になってくる。そのような要請にこたえて、諸藩で試みられたのが、いわゆる「藩政改革」であった。といっても、諸藩には独自の事情があり、リーダーの考え方も一様ではなかったから、藩政改革はさまざまな形をとった。そのような藩政改革の代表的な事例を、……概観することにしたい。――本書より
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目次
●家康の“王国”
●“天下の法度”を定める
●名君の時代
●徳川光圀――将軍をも批判した“黄門様”
●江戸経済の転換点
●藩政改革のリーダーたち
●恩田木工――伝説化された寛仁の改革者
●幕閣の治者たち
●徳川吉宗――武断政治から「享保の改革」へ
●田沼意次――重商主義の側用人
書誌情報
紙版
発売日
1996年07月19日
ISBN
9784061493131
判型
新書
価格
定価:694円(本体631円)
通巻番号
1313
ページ数
236ページ
シリーズ
講談社現代新書