観音・地蔵・不動

観音・地蔵・不動

カンノン・ジゾウ・フドウ

講談社現代新書

宗派を超え、教義を離れて日本人を魅了しつづけた守り本尊。貴族・武士・庶民それぞれの信仰を通して『日本仏教』の根源に迫る。

武士と地蔵――地蔵が戦場に現れて危急を救ってくれるという信仰も、武士政権が成立したこの時代には盛んだった。武士の危急を救う身代わり地蔵の説話としては、『太平記』に記す、壬生寺縄目地蔵の話も名高い。京で足利軍と戦った児島高徳勢が全滅したとき、武蔵国の住人香勾新左衛門高遠だけは囲みを破って壬生寺地蔵堂に逃げこんだ。すると1人の僧が現れ、自分の念珠を高遠の血刀ととりかえてくれた。寄手の兵は、念珠を持って祈っている高遠を参詣人と思い、血刀を持った僧に縄を打ってつれ去った。ところがこの身代わりの僧は牢から姿を消し、のちに壬生地蔵堂の本尊をみると縄目の跡が残っていたという。――本書より


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目次

●西から来た神
●ホトケという名の神々
●観音・地蔵・不動――尊名の由来と役割
●菩薩と明王
●王朝貴族の願いに応えて
●密教と浄土教
●武士の時代の新たな展開
●観音詣でと三十三所巡礼
●近世民衆の守護神
●講参詣、出開帳、流行神

書誌情報

紙版

発売日

1996年10月18日

ISBN

9784061493261

判型

新書

価格

定価:726円(本体660円)

通巻番号

1326

ページ数

228ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介