トルコ民族主義

トルコ民族主義

トルコミンゾクシュギ

講談社現代新書

モンゴル高原に源を発した遊牧民は、いかにして世界地図を塗りかえたか。いま、再び歴史の主役に躍り出た民族の歴史と未来像。

二つの顔をみせる民族の問題――民族の問題をイスタンブルから、あるいはトルコから見なおしてみると、……分離的、遠心的な現象とは対極にある第二の局面があることに気づく。それは従来、違った集団として意識し、国も異にしてきた人びとが、地理的な近さ、経済協力の可能性、言語、宗教、文化、歴史などの共通性をてこにしながらたがいに絆を強め、関係を緊密にしていこうとする統合的、求心的な傾向である。……これは広域ナショナリズムと呼ぶことができるだろう。ザカフカスのアゼルバイジャン人や中央アジアのトルクメン人、ウズベク人、カザフ人、キルギス人などがトルコに接近したり、内戦で苦しんでいたボスニアのイスラーム教徒がトルコに援助を求めたりしていることなどがこれにあたる。――本書より


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目次

●イスタンブルに民族の問題をみる
●トルコ民族とは何か
●ペルシア=イスラーム世界への道
●東方キリスト教世界のトルコ・イスラーム化
●未完のトルキスタン国家
●アゼルバイジャンの「二つの顔」
●変転するトルコ人の民族意識
●オスマン帝国分割の危機
●灰色の狼はよみがえるのか
●中東イスラーム世界に回帰する人たち

書誌情報

紙版

発売日

1996年10月18日

ISBN

9784061493278

判型

新書

価格

定価:705円(本体641円)

通巻番号

1327

ページ数

242ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介