知性はどこに生まれるか

知性はどこに生まれるか

チセイハドコニウマレルカダーウィントアフォーダンス

講談社現代新書

水や土や光について、脳ではなく手や足や皮膚が持つ知性とは何だろう。考える身体が知る「環境」の意味とは? 新しい認知理論の目で人間を考える。

身のまわりに意味を発見する――ぼくらを取り囲むところには行為が利用できることが無限に存在している。これら環境にあって行為が利用していることを「行為だけが発見することのできる意味」と呼ぶことにしよう。おそらくぼくらの行為がこの環境の中でしていることは、環境にあってぼくらを取り囲んでいる多様な意味を柔軟に探し当てることなのである。辞書に載っていない、名前のついていない、行為だけが知っている意味がある。19世紀にこの世界で起こる「変わり続けているありのままのこと」にだけ興味があったダーヴィンという男は、ミミズの行為にもありのままを見た。彼はそのことがぼくらが「知能」とよんでいることに近いことに気づいたが、特別な名前をつけたわけではない。しかし、観察のあげく、どうやらだれも気づかなかった行為の本当のことを少しは知った。――本書より


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目次

●さんご礁の心理学
 生きものには「まわり」がある
●生きものはこのようにふるまわない
 ミミズには知能がある
●「まわり」に潜んでいる意味
 アフォーダンスということ
●知覚する全身のネットワーク
 アフォーダンスを探るシステム
●運動のオリジナル
 どの部分も回っている

書誌情報

紙版

発売日

1996年12月19日

ISBN

9784061493353

判型

新書

価格

定価:748円(本体680円)

通巻番号

1335

ページ数

206ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介