小説・倫理学講義

小説・倫理学講義

ショウセツ・リンリガクコウギ

講談社現代新書

不倫は許されるか?民主主義は正しいか?プラトン、カント、ニーチェなど古今の思想から今日的テーマに斬り込む超小説!
長嶋教授失踪!?事件を巡って巻き起こる議論の嵐。不倫とは、嘘とは、民主主義とは?プラトン、ニーチェなど古今の思想を手がかりに倫理学の今日的課題を問う。

[不倫は道徳的に許されないか]――「きっとその倫理学者は考えたのね、不倫はなぜ道徳的に許されないのか、と」「それは愚問だ。道徳に反することを不倫というのだから、『不倫は道徳的に許されない』というのは、トートロジーでしかない。むしろこう問うべきなのだ。独身女性と妻子持ちとの恋愛はなぜ不倫にあたるのか、と」「倫理学者は、結局その難問を解くことができなかった」「いや、そうではない。答えは簡単だ。そうゆうことが不倫にあたらないということになると、結婚制度は意味を失って、結婚制度を土台にして築かれたこの社会は、秩序を維持できなくなり、やがて崩壊の危機にさらされることになる。道徳は神がつくったものではない。共同体が自己を維持するためにつくりあげたものだ。だから道徳は、独身女性と妻子持ちとの恋愛を禁じるのだ」――本書より


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目次

●理性は感情を制御できるか
 ニーチェの無意識理論
●不倫はいかにして可能か
●人を裁く論理
 難破船と功利主義
●民主的とはどういうことか
 ロールズの正義の原理
●人の権利の成り立ちについて
●失われ、戻らないものたちのために
 「道徳的感性」の問題

書誌情報

紙版

発売日

1997年11月20日

ISBN

9784061493803

判型

新書

価格

定価:726円(本体660円)

通巻番号

1380

ページ数

228ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介