
恥と意地
ハジトイジニホンジンノシンリコウゾウ
- 著: 鑪 幹八郎

日本人の心のありよう、人と人との関係にはどんな特徴があるのだろうか。自分の存在の全体に関わる「恥」の感覚、その防衛(回復)としての「意地」のメカニズムに新たな光を当てる。
表と裏――恥の感覚によっておこる1番大きなダメージは自己意識である。「恥ずかしい人間だ」「自分はダメ人間だ」というように、自分の自尊心や自己評価に深い傷を受けてしまうのである。心の中では、立ちあがれないようなひどいダメージとなることが多い。私たちはこのようにひどく辛いダメージを何とか避けようとする。「いいわけ」をしたり、突っ張ったり、「合理化」をしたり、突き放したり、相手を攻撃したり、もともとなかったものと否認したり、この場から避けて逃げ出し、2度とその場に近づかなかったりするなど、さまざまな行動をする。これらの回避する行動を外から見ると、自分の自尊心をまもり、いたわるための「意地」(維持)になっていることが多いのではないだろうか。――本書より
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目次
・恥の感覚の普遍性
・これまでの恥研究
・恥の誕生と成長
・意地と私たちの日常
・こだわりと怒りの意地
・名誉を重んじる意地
・名誉を回復するための意地
・自尊心の傷つきからくる意地
・アモルファスな自我構造の形成
・わが国における対人関係の美学
書誌情報
紙版
発売日
1998年01月20日
ISBN
9784061493872
判型
新書
価格
定価:704円(本体640円)
通巻番号
1387
ページ数
188ページ
シリーズ
講談社現代新書