
われわれはどんな時代を生きているか
ワレワレハドンナジダイヲイキテイルカ

歴史の中の「いま」という瞬間を真摯に生き、実践的に問うこと。21世紀の知的課題はここから始まる。
事件の合理性と偶然性──命を重視する考え方は、現代に近づくほど、ややもすれば歴史の複雑さを解釈する作業から逃避したい人間にとって魅力あふれるものとなる。しかし、現代人はカフカの世界を通して歴史を眺めるわけではない。……現代人は「平家物語」の時代に生きた祖先たちと比べるなら、歴史の原因との関係においてもっと明示的な探求を余儀なくされるだろう。──山内昌之
ベンヤミンの「パッサージュ」──「いま」という時代に人びとが下すべき判断や評価の中に、現在の瞬間を真摯に生きるものだけが構想しうる虚構の物語ともいうべきものがかたちづくられ、それへの確信というか、理念的な賭けのようなものが、ときとして、のちに生きる人びとの思考と「いま」の人びとのそれとを通底させることがありはしまいかということなのだ。──蓮實重彦
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目次
●差異と差別の「差」
●不在の書物をめぐって
●もう一つの「二つの世紀」
●「首都」の崩壊 または不可視のできごと
●ある転向と亡命
●模倣と反復の倫理
●コスモポリタン文化の終焉
●ある「虚構」の登場人物について
●平重盛の涙とクレオパトラの鼻
●知的な「賭け」について
書誌情報
紙版
発売日
1998年05月20日
ISBN
9784061494008
判型
新書
価格
定価:726円(本体660円)
通巻番号
1400
ページ数
218ページ
シリーズ
講談社現代新書
初出
PR誌『本』(講談社)1997年6月号~1998年4月号の連載(原題「二つの世紀の間で」)をまとめたもの