
アジア菜食紀行
アジアサイショクキコウ
- 著: 森枝 卓士

なぜ肉を食べないのか、「精進」の思想はどんな生命観に基づくのか。灼熱のアジアを旅しながら、その奥深い食文化の歴史と背景を探る。
「殺さない」ことに徹した思想──なぜ、タマネギもニンニクも食べないのか。日本の寺の精進料理で、ニンニクなどを「精がつくもの」として忌避することを思い出し、それと同じことなのかと聞いてみたら、そういうことではないらしい。要するに根っこだからということなのだ。タマネギやニンニクのような根を食べるものだと、食べることによって植物を殺すことになるからだというのである。……生命というものに対して、そこまで突きつめたものであったのかと、改めて考えさせられる。なるほど、私が食べさせてもらっているのは、植物まで含めて「殺さない」ということに徹した思想の上に成立している食の文化の体系なのだ、という驚きと納得を感じるのだ。──本書より
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目次
●暑さがスパイスの文化を生む
●菜食主義は文明化の象徴
●仙人になるためには肉食を絶つ
●不殺生戒の重視と因果応報
●乳製品の代用品としての豆腐
●精進屋台との遭遇
●菜食主義の仏教徒グループとの出会い
●内臓までちゃんと食べる食文化
●「米」と「肉」の対立は大化改新から
●肉は生き物の一部という実感
書誌情報
紙版
発売日
1998年09月18日
ISBN
9784061494213
判型
新書
価格
定価:704円(本体640円)
通巻番号
1421
ページ数
210ページ
シリーズ
講談社現代新書