
環境ホルモン・何がどこまでわかったか
カンキョウホルモン・ナニガドコマデワカッタカ
- 著: 読売新聞科学部

メス化する生物、ダイオキシン、カップ麺騒動……いまや社会現象と化した問題の本質とは何か?第一線ジャーナリストの報告。
【環境ホルモンとは何か】――人間の体はおよそ60兆個の細胞でできている。これらの細胞にある種の指令を送って、それぞれの細胞が協調して働く機能が備わっている。……その重要な指令伝達を身体の中で担っているのが神経系とホルモンだ。……ホルモンは、目的のたんぱく質を合成するためには、標的細胞のレセプターに結合しなければならない。……これをよく鍵と鍵穴の関係にたとえられるが、この鍵穴(レセプター)に合い鍵がないわけではない。例えば、医薬品の中には、人工的に合い鍵の化学物質を合成した人工ホルモンが作られている。しかし、まったく意図しないで作られ、環境中に放出されている化学物質の中に、レセプターと結合しホルモンの合い鍵のように働く化学物質が見つかってきた。それが今問題になっている、環境ホルモンである。内分泌攪乱化学物質と言われる以前は、環境エストロゲンと呼ばれることが多かったが、これは体内に入ると女性ホルモンのようにふるまう化学物質が多かったからだ。――本書より
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目次
●環境ホルモン報道の現場
騒動の始まり
●環境ホルモンとは何か
●環境ホルモンの多角的な影響
人間の精子は減少したか?
●解決への道のり――世界と日本の取り組み
新しい試みPRTR
アメリカの排出目録制度
●11のインタビュー――専門家は、生活者はどう考えるか
●問題の本質――役に立つ科学とは何か
書誌情報
紙版
発売日
1998年11月20日
ISBN
9784061494251
判型
新書
価格
定価:726円(本体660円)
通巻番号
1425
ページ数
238ページ
シリーズ
講談社現代新書