
「黙示録」を読みとく
モクシロクヲヨミトク
- 著: 森 秀樹

千年王国、ハルマゲドン、メシア思想など数々の幻と象徴の正体とはなにか。背景となるユダヤ民族放浪の歴史をたどり、秘められた謎とその魅力に迫る。
【戦う殉教思想】──「黙示録」が成立したと言われる迫害激化の1世紀末には、アジア州の教会はおおかた腰砕けの状態であった。……また、各書は1部の使徒書簡をのぞけば、諸福音書のようにどちらかというと穏便で叙事的な内容であり、激動の逆境の時代にはおとなしすぎて不向きであり、心的な決起(気構え)をうながす「檄文」にはなりえなかった。「黙示録」はそれらとはだいぶ違う、ある意味では逆かもしれない文書だった。はっきりとは書きにくいが、書かずにはいられない、「隠された意味をもって啓示する」表現を用いた著者ヨハネのたかぶりが伝わってくるのである。それは、「新しい世界への待望感」を信じこませようとする「檄文」であり、戦う姿勢を強く訴える啓示そのものであった。──本書より
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目次
●「黙示録」の背景をみる
ユダヤ民族の歴史
「黙示録」の三つのキーワード
●「黙示録」を読む
「黙示録」のあらすじと解説
●幻と象徴の正体を探る
象徴の意味合い
黙示文学と「ダニエル書」の影響
●「黙示録」のさまざまな解釈
「黙示録」の図像学
書誌情報
紙版
発売日
1999年01月20日
ISBN
9784061494343
判型
新書
価格
定価:704円(本体640円)
通巻番号
1434
ページ数
190ページ
シリーズ
講談社現代新書
著者紹介
著: 森 秀樹(モリ ヒデキ)