
平成・新語×流行語小辞典
ヘイセイ・シンゴ×リュウコウゴショウジテン
- 著: 稲垣 吉彦

ことばには流行りすたりがあるから面白い。いつ、誰が、どうして使ったのか。平成の世相を丸ごとパッケージ!
平成4年●裏のことばが表に出る時代──新語流行語大賞の新語部門の金賞は「ほめ殺し」だった。造語者は「サンデー毎日」の小林泰一郎記者である。……同記者によると最初は「ほめ倒し」だったが、この在来語ではまともすぎる。「倒し」に代えて「殺し」を持ってきた。これが効いた。「ほめる」と「殺す」の、相反することばを結び付けて組み合わせた効果が出た。流行語造りの名手、大宅壮一は、この手法を「観念の異常連合」とか「異質の連合」とか呼んでいた。戦後の新制大学を皮肉った「駅弁大学」がこれである。大学といえばアカデミズム、さしずめ象牙の塔というイメージがあった。これと結びつけるに駅弁という庶民的で安直なものをもってきた。その対比で大学の質的低下を衝いた。諧謔(かいぎゃく)性も生じた。ほめ殺しは佐川事件のキーワードの1つになり、政治改革を訴える国会議員がほめ殺しにひっかけて、「金丸さんに感謝大会」を開いたりした。──本書より
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目次
平成1年●平成景気に忍び寄る影
平成2年●元気印の女たち
平成3年●少子化時代のチャイルド・ビジネス
平成4年●裏のことばが表に出る時代
平成5年●ゼネコン汚職VS.清貧
平成6年●すったもんだがありました
平成7年●戦後50年、安全神話の崩壊
平成8年●閉塞感のルーズソックス
平成9年●酒鬼薔薇聖斗VS.エツラー+クサナギ君
平成10年●日本列島総不況
書誌情報
紙版
発売日
1999年04月20日
ISBN
9784061494497
判型
新書
価格
定価:792円(本体720円)
通巻番号
1449
ページ数
300ページ
シリーズ
講談社現代新書