
敬語はこわくない
ケイゴハコワクナイサイシンヨウレイトキソチシキ
- 著: 井上 史雄

「お求めやすい」「お気をつけて」「させていただきます」。誤用・慣用の変化を豊富な用例で説く新・敬語入門。
「~せていただく」の拡大――昔「本日休診」という映画があった。病院の玄関に下げる札はこれでいい。しかし商店の貼り札などで「本日休業」ではそっけない、というので、「本日休業します」と書くこともある。これをさらに、「休業させていただきます」のように書くことが関西から東京に広がったのは1950年代らしい。最初は抵抗があったようだが、「勝手に休みやがって」ととらえがちな人には、つつましやかに許可を求める風の表現は、徐々に受け入れられた。この用法を広げると、「午後1時から営業させていただきます」が登場することになる。休むのと違って営業することについては、別に利用者が困るわけではないし、許可するわけでもないので、やや抵抗があった。しかしもう広がってしまって、今とやかく言う人はいないだろう。――本書より
- 前巻
- 次巻
目次
●「お」が増えている
●敬語は擦り減る
●敬語の民主化
●デスマス体からゴザイマス体へ
●謙譲語の尊敬用法
●謙譲語を使いこなすために
●聞き手への配慮を優先
●「~せていただく」の進出
●敬語の連続体
●社会の中の敬語
書誌情報
紙版
発売日
1999年05月20日
ISBN
9784061494503
判型
新書
価格
定価:726円(本体660円)
通巻番号
1450
ページ数
212ページ
シリーズ
講談社現代新書