室町お坊さん物語

室町お坊さん物語

ムロマチオボウサンモノガタリ

講談社現代新書

帝への授戒、女人禁制、政争、天災
天台僧かく語りき
新資料「鎮増私聞書」で読む戦乱の中世

南北朝合一、明徳・嘉吉の乱……戦乱の中世を生きた1人の天台僧の記録「鎮増私聞書」。そこから浮かびあがる仏教界と庶民の姿とは。

南北朝合一──これからしばらくお話しいたしますのは、わたくしの存命中に起きましたさまざまな世の動きについてでございます。……わたくしが「私聞書」でこのような世間の動きや乱れを語ったことには理由があるので、単に物見高い者が書き付けておいたというのとはわけが違うのです。わたくしは、この短い間に次々と起こった世の動きをすべて一連のものと考えております。仏教では、物が起こるには必ずその理由がある、と言います。つまり「因」と「果」でございますね。わたくしは俗世のことに疎い者ではありますけれど、一在地民として赤松氏と幕府の関係を見てみると、ある事は起こるべくして起こったのだ、という感を強くいたします。……わたくしの意図は、赤松氏滅亡に至るそのなりゆきを追うことにあったのです。それによって、わたくしたちの生きている世の中が「如夢幻泡影」(夢幻のように、泡の影のようにはかない)であることを示したい気持ちもあったかもしれません。──本書より


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目次

●鎮増というひと
 播磨からの上洛
●円頓戒復興
●法華経直談
 衣とご馳走
●時代の目撃者として
●戦乱の世に生きて
 山門の悲劇
 鎮増たちの「京観光」
●鎮増と書写山の周辺

書誌情報

紙版

発売日

1999年06月18日

ISBN

9784061494572

判型

新書

価格

定価:726円(本体660円)

通巻番号

1457

ページ数

220ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介