日本の<地霊>

日本の<地霊>

ニホンノゲニウス・ロキ

講談社現代新書

東京、大阪、神戸、広島──都市の伝説を掘り起こし、日本近代を捉え直す新しい試み。

国会議事堂は“伊藤博文の墓”だった!?
国会議事堂のピラミッド屋根──国会議事堂の屋根のかたちは、どう考えても不思議である。ふつうあのような左右対称でクラシックな建物は、中心にドームを戴く。アメリカの国会議事堂がそうであるし、ロンドンのナショナル・ギャラリー、ローマのサン・ピエトロ大聖堂など、そうした例は枚挙にいとまがない。……しかるにわが国会議事堂の屋根は、段々になったというか、階段状のピラミッドというか、じつにユニークな形態である。もともとわが国には、公共建築は左右対称に建物の構成をまとめ、その中央に塔を上げるという伝統がある。明治以来の官庁の建築、官立学校の本館(たとえば東大の安田講堂)などを思い浮かべれば、それは即座に納得されるだろう。……もっとも、左右対称式の建築は大正時代にはいると段々古くさくなってくる。大正には対称は流行らない。……しかしなぜ、遅れてきた左右対称式が国会議事堂の意匠を支配しているのか。──本書より


  • 前巻
  • 次巻

目次

●場所の依り所
議事堂の祖霊はねむる──伊藤博文の神戸
聖地創造──丹下健三の広島
故郷との路離──渋沢栄一の王子
●日本の〈地霊〉を見に行く
三菱・岩崎家の土地──岩崎彌太郎の湯島切通し
消えた丸の内
地方の鹿鳴館
炭鉱と鉱山・亡者の墓
川の運命──谷崎潤一郎の神戸

書誌情報

紙版

発売日

1999年12月20日

ISBN

9784061494817

判型

新書

価格

定価:748円(本体680円)

通巻番号

1481

ページ数

240ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介