
今なぜ戦後補償か
イマナゼセンゴホショウカ
- 著: 高木 健一

すべての戦争は補償義務を免れない!
日本の「戦後」は本当に終わったのか――アジア・太平洋地域に今も残る戦争被害者への補償を終えることによって、初めて日本は世界における真の名誉と信用を得ることができる。
戦争被害者は個人でも、加害国や関係した企業に補償を求めることができる!――
戦争の加害国が被害者個人に対して「償う」という観点から生まれたのが「戦後補償」ということばである。「戦後責任」が原状に回復するための作業であるとすれば、戦後補償とは戦争被害者の人権救済として、具体的な金銭的補償を行うことである。(中略)戦後処理の過程で国家間で行う「戦後賠償」に対し、被害者個人による加害国家に対する請求を「戦後補償」としたのである。(中略)それまでは、戦後処理を国家間で解決するための枠組みの議論はされたが、戦争によって、被害を受けた民間人の立場の権利回復は、真剣に議論されなかった。英語においても明確な区別はなかった。しかし現在では、国家間の賠償は「レパレイション(reparation)」、個人への補償は「コンペンセイション(compensation)」として区別されるようになった。――(本書より)
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目次
第1章 私と「戦後補償」問題
第2章 アジア・太平洋地域の被害者――消せない記憶と証言
第3章 世界の国々の「戦後補償」
第4章 戦争の後始末をする――国際社会のなかで補償の道筋を立てる
書誌情報
紙版
発売日
2001年11月20日
ISBN
9784061495784
判型
新書
価格
定価:748円(本体680円)
通巻番号
1578
ページ数
248ページ
シリーズ
講談社現代新書