
進化経済学のすすめ
シンカケイザイガクノススメチシキカラケイザイゲンショウヲヨム

市場主義は人々を幸福にするのか?
規制撤廃、産業再編成、市場第一主義――グローバライゼーションは人々に何をもたらすか。経済社会で進行する変化と淘汰を新たな視点から読む。
知識を視点にすると――ルート128号線沿い、あるいは日本の場合、企業倒産は経営者の引退を意味するので、その経験を生かす場はない。(中略)これに対して、シリコンバレー型システムの下では、倒産した経営者はその経験と知識を次世代に伝えるチャンスをもつことになる。(中略)
社会システムの進化という視点から見ると、個々の企業の独立性が高く、失敗した経営者が引退しなければならないルート128号線・日本型システムの場合は、ダーウィン的進化ということができるだろう。知識は企業内部で受け継がれるしかなく、企業の盛衰でのみ進化を論じることになる。(中略)
それに対して、知識の共有と双方向的コミュニケーションが可能であり、獲得された経験を、他者に伝達することが可能であるシリコンバレー型システムは、獲得形質の遺伝のような要素が入っているということができる。この場合、淘汰にさらされるのは、個々の企業ではなく、技術および経営戦略にかんする知識である。――(本書より)
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目次
〈第1章〉進化する社会
1 ラマルクの進化論
2 マルサスの人口論
3 「種の起源」のインパクト
4 スペンサーの進化論
5 ヴェブレンの制度進化論
6 ハイエクの進化論
7 経済学における「進化」の定義
〈第2章〉経済進化と知識
1 モノ作りの知識
2 企業の理論
3 産業の理論
4 政策の理論
〈第3章〉知識・制度・人間
1 知識とコミュニケーション
2 知識とは何か
〈第4章〉経済と経済以外のもの
1 制度疲労と改革
2 グローバライゼーションの流れの中で
3 経済と幸福
書誌情報
紙版
発売日
2002年06月20日
ISBN
9784061496132
判型
新書
価格
定価:726円(本体660円)
通巻番号
1613
ページ数
200ページ
シリーズ
講談社現代新書