人形作家

人形作家

ニンギョウサッカ

講談社現代新書

企画・嵐山光三郎/人形撮影・篠山紀信
「青春の暴風圏の記録であり、昭和という溶けかけていく時代へのエレジーでもある」――嵐山

不良少年から天才人形作家へ。60年代の新宿を駆け抜け、唐十郎、澁澤龍彦らと出会った激動の半生と創作の舞台裏を告白。

細部へのこだわり――「ドイツの少年」では靴や靴下、ガーターベルトなど、小物にも細心の注意をはらいました。靴は靴職人に特注しました。市販の子供の靴でも代用が利くと思うでしょうが、人間の足は意外とつま先が平たくて幅があり、恰好よくないのです。ですから人形用に足先の細い型で靴を作ってもらいました。……
人形をガラスのケースの中に入れたのは、ショーウィンドー的な感覚からです。たとえば、デパートのショーウィンドーを通して見る商品は、隔離された世界のなかにあり、売り場でじかに売っているのとおなじものなのに、それとはどこか違う標本的なものに見えます。僕の人形も家具的なケースに押し込み、ガラスというフィルターを1枚かけて、標本のように見せたいと考えたのです。ガラスのひんやりした人工的な素材感が僕の好みであったということもありました。――(本書より)


  • 前巻
  • 次巻

目次

●シモンとは何者であるか――嵐山光三郎
●人生が始まっちゃった
●問題児の青春
●新宿に漕ぎ出す
●女形・四谷シモン誕生
●唐十郎、状況劇場との出会い
●人形作家としてデビュー
●凍てついた人体表現
●人形観を模索する日々
●答えはない
(抜粋)

書誌情報

紙版

発売日

2002年11月20日

ISBN

9784061496330

判型

新書

価格

定価:968円(本体880円)

通巻番号

1633

ページ数

216ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介