
働くことは生きること
ハタラクコトハイキルコト
- 著: 小関 智弘

町工場から時代が見える
職人の技ものづくりの魅力
腕のいい職人の仕事は粋で美しい。効率第一の裏で、働く人は要員に成り下がっていないか。旋盤工・作家が問う「仕事」の現在。
こころ豊かに働く――
物質的な豊かさに溺れると、人はそのモノの価値を見失う。かつて人びとはモノのうしろに、それを育てたり作ったりする人びとの労苦や技を見る目を持っていたが、それが見えなくなった。モノの利便性や経済的な、つまり実用的な価値しか見えなくなる。モノに対する価値判断が実用的になれば、労働に対するそれも同じことである。
自分で額に汗して働くよりは、他人に作らせてそれを安く買う方法を考えようとする。産業の二重構造をたくみに利用して、中小企業が作ったモノを大企業が売る。(中略)
そんな日本の社会の底辺で、働くことが生きること、生きることが働くことと信じて疑わない人たちがいる。町工場だけにいるわけではない。農村にも、学校にも、医療や福祉の現場にも、いや大きな企業のなかにもむろんいるのにちがいない。――(本書より)
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目次
●肩書から〈旋盤工〉が消える日
100分の1ミリの振幅
●仕事が好きになるまで
人はなぜ働くのか
●働きながら書く
鋼が見えた
●仕事をみつめる
鉄のメッセージ
●時代をみつめる
●こころ豊かに働く
書誌情報
紙版
発売日
2002年12月16日
ISBN
9784061496392
判型
新書
価格
定価:770円(本体700円)
通巻番号
1639
ページ数
240ページ
シリーズ
講談社現代新書