外務省「失敗」の本質

外務省「失敗」の本質

ガイムショウシッパイノホンシツ

講談社現代新書

大丈夫か日本外交!?

エリート外交官はなぜコワモテ政治家に食い物にされたのか。機密費詐取や日朝交渉の実態とは。「伏魔殿」内部の真実を明かす。

地に落ちた信用――
2001年元旦、巨額の官房機密費詐取疑惑が初めて報じられて以来、外務省では不祥事が相次いで発覚し、その信用は地に落ちた。
ハイヤー代やホテル代の水増し請求、在外公館の予算不正使用、本省内全部局にわたる裏金プールなど、ずさんな公金管理を浮き彫りにした事件だけでなく、鈴木宗男代議士との不明朗な関係や、瀋陽の総領事館で発生した北朝鮮住民駆け込み事件など、政界との関係や人権感覚でも非常識ぶりをさらけ出した。
外務省の威信と地盤は、とりわけ湾岸危機後の10数年間に、急速に低下したように見える。外務省の権威を支えていた海外情報や語学能力、国際法、国際慣習といった分野の知識面では、社会のグローバル化に伴って民間との格差が縮まっているのに、外務省はそうした環境の変化になかなか気づかなかったからだ。
草の根の声や感情に疎い外務省の体質は、小泉純一郎首相と北朝鮮の金正日総書記が会談した際、拉致被害者の安否確認リストの内容を家族らに即刻伝えなかった失態にも結びつく。――(本書より)


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書誌情報

紙版

発売日

2002年12月16日

ISBN

9784061496408

判型

新書

価格

定価:792円(本体720円)

通巻番号

1640

ページ数

256ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介