ミステリイは誘う

ミステリイは誘う

ミステリイハサソウ

講談社現代新書

ミステリイは深い!
死体、探偵、美女、手がかり、推理――。
5つのキーワードで古今のミステリイの森を自在にフィールド・ワーク!読めばあなたも殺される!?

●殺人は近代社会のスキャンダルである
●芸術としての殺人
●孤高のタフガイが死体と出会うとき
●探偵の反-近代性
●ポアロとウィムジイの所在なさ
●美女の味わい
●オリジナルとコピーの交錯
●アイデンティティの揺らぎとワンダーランド
●推理の快感
●ミステリイの可能性
――(目次より抜粋)

~手がかりとは?~
手がかりが――(中略)、決定的に重要となるのはどんな場合か。たとえば、牛の足跡がだく足やギャロップの痕を残したとき、これに注目したホームズが牛型の蹄鉄を馬に打つトリックに気づいて犯人をつきとめた場合。あるいは、貴族を自称する女の靴が、高価な身なりにつり合わないような安物のときに、ポアロが彼女を宝石泥棒と見抜いた場合。つまりは足跡や靴が、犯人の巧妙な嘘をあばき、<外観>の下の<存在>をあらわにするように働いたときである。
手がかりはこうして犯人の偽装を見破り謀略をあばく結び目となるときに、はじめて決定的となる。だから手がかりの発見は意外な真相へと一挙につながるわけで、ミステリイの醍醐味そのものといえる。探偵がこんな特権を、読者に簡単に分け与えるはずがないではないか。――(本書より)


  • 前巻
  • 次巻

書誌情報

紙版

発売日

2003年01月17日

ISBN

9784061496453

判型

新書

価格

定価:770円(本体700円)

通巻番号

1645

ページ数

224ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介