
教えること、裏切られること――師弟関係の本質
オシエルコトウラギラレルコトシテイカンケイノホンシツ
- 著: 山折 哲雄

法然・親鸞・道元、子規と虚子、漱石と和辻……
「師と弟子」こそ日本の教育の原点だ
いかに学び、いかに師を乗りこえるか。柳田・折口の確執、棟方志功の師殺し、親鸞・道元等の情知渦巻く世界
人間関係第一というスローガン――私は長いあいだ、師などいらぬもの、と思っていた。戦後の長いあいだ、そう思っていた。考えてみれば、私にとっての「師はいらぬもの」の時代は、「人間関係」という言葉の流行した時代と重なっていた。しかしこのごろ、その「人間関係」主義がいつのまにかぐらつきはじめているのではないか。戦後50年を通観すればただちにわかることだが、その人間関係主義の大合唱の中から師弟関係という人生軸が、はじめから徹底的に排除されていたのだ。師弟関係という垂直軸を無視し否定することによって、人間関係という横並びの水平軸がいつも不安定に揺れつづけることになったのである。――(本書より)
教えること、裏切られること――目次より
●孤高の僧、藤井日達と私
●弟子を持つの不幸――内村鑑三と斉藤宗次郎
●父なるものへの回帰――夏目漱石と和辻哲郎
●宿命のライヴァル――柳田国男と折口信夫
●究極の「師殺し」――棟方志功と柳宗悦
●師資不相承、ここに極まれり――正岡子規と高浜虚子
●親鸞、弟子捨ての真意
●師の人格をいかに相続するか
●『歎異抄』にこだまする唯円の叫び声
- 前巻
- 次巻
目次
第1部 近代日本における師弟の姿
1章 孤高の僧、藤井日達と私
2章 弟子を持つの不幸―内村鑑三と斉藤宗次郎
3章 父なるものへの回帰―夏目漱石と和辻哲郎
4章 宿命のライヴァル―柳田国男と折口信夫
5章 究極の「師殺し」―棟方志功と柳宗悦
6章 師資不相承、ここに極まれり―正岡子規と高浜虚子
第2部 鎌倉新仏教の師弟関係
7章 師から離陸するために―親鸞と法然
8章 日本に人なし―道元と明全・如浄
9章 親鸞、弟子捨ての真意
10章 道元が抱えた矛盾
11章 師の人格をいかに相続するか
12章 『歎異抄』にこだまする唯円の叫び声
書誌情報
紙版
発売日
2003年05月18日
ISBN
9784061496637
判型
新書
価格
定価:770円(本体700円)
通巻番号
1663
ページ数
216ページ
シリーズ
講談社現代新書