自我の哲学史

自我の哲学史

ジガノテツガクシ

講談社現代新書

デカルト、カント、ライプニッツからハイデッガー、レヴィナスまで…宮沢賢治や西田幾多郎の自我論とは?
日本人に自我はいらない!

重荷になった自我
あらかじめ見通しをいえば、われわれが通常、社会生活で是とする自我概念は、基本的には西洋近世の自我概念の上に成り立っており、日本人は近代化においてそれを受容したのである。しかし元々それは体型に合わないスーツみたいなものではなかったか。それが露わになりだしたのが、今日の思想的・社会的・文化的状況なのではないだろうか。自我が主体として、自由と責任の担い手たらんと意識することが、かならずしも人間の自己解放を意味するとは断定できまい。もしかしたら自我の確立は幸福のための絶対的な条件ではないかもしれないのだ。――<本書より>


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目次

プロローグ 「自分のことは自分が一番よくわかる」ってホント?
第1部 西洋近世哲学における自我
 第1章 「自我」概念の内実
 第2章 デカルトからカントへ
 第3章 ライプニッツの自我論
 第4章 意志としての自我へ――キルケゴールとニーチェ
 第5章 20世紀大衆社会の中の自我――ヤスパースとハイデッガー
 第6章 現代哲学と自我――ブーバーとレヴィナス
 
第2部 自我のゆくえ
 第1章 宮沢賢治の自我論
 第2章 西田哲学の自我論――我は我ならずして我なり
 第3章 夏目漱石の自我論
 第4章 16世紀南西フランスで起きた偽者事件
 第5章 日本人と自我のゆくえ
エピローグ 仮面の自我、あるいは着脱する仮面

書誌情報

紙版

発売日

2005年06月18日

ISBN

9784061497924

判型

新書

価格

定価:814円(本体740円)

通巻番号

1792

ページ数

256ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介