日本語の森を歩いて

日本語の森を歩いて

ニホンゴノモリヲアルイテフランスゴカラミタニホンゴガク

講談社現代新書

日本で暮らして4半世紀のフランス人言語学者フランス・ドルヌ。彼女の目には「行ってきます」「痛っ!」「助けて!」なにげない普通の日本語の背後に深い働きが見える。2つの言語を合わせ鏡に、夫・小林康夫との対話からうまれた日↔仏往復言語学。

水ではなく「お湯を沸かす」のはなぜ?
「よく来たね」の「よく」は何が良いの?
「ねぇ、貸して」の「ねぇ」って何?
「すごいよな」はOKで「すごいねな」はNG?
「しまった!」「ちょっと待った!」は過去形?

発話からはじめて……
あるひとつの個別言語は、それを学ぼうとする外国人にとっては、未知の規則によって支配された不思議な現象として現れます。(中略)どの日本人にとっても、あまりにもあたりまえで、いかなる不思議からも遠そうな「行ってきます」という表現が、とても不思議なものと映ります。自分の母語による関係網の形成の枠のなかにうまくおさまらないものがあると感じる。そこに日本語固有のローカルな表現があると見るのではなく、そこには自分の母語にはそのままの形で現れてはいないが、しかし別の回路を通ってつながっているような一般化可能な関係設定が現れているのではないか――それが探究の出発点なのです。――<本書より>


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目次

第1章 奥のほうへ進んでください
第2章 玄関先で失礼します
第3章 表参道で降りる
第4章 先生に本をもらった
第5章 行ってきます
第6章 助けて!
第7章 お湯を沸かして
第8章 捻挫は治った
第9章 よくまあいらっしゃいました
第10章 よく言うよ
第11章 ちょっと待った!
第12章 しまった!
第13章 いたっ!
第14章 すごいよね
第15章 おあとがよろしいようで

書誌情報

紙版

発売日

2005年08月20日

ISBN

9784061498006

判型

新書

価格

定価:792円(本体720円)

通巻番号

1800

ページ数

240ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介