サバがトロより高くなる日

サバがトロより高くなる日

サバガトロヨリタカクナルヒキキニタツセカイノギョギョウシゲン

講談社現代新書

「豊かな食卓」を支える驚きの実態!!

漁獲量が147万トンから2万トンになったサバ
100万トンから26トンになったイカ
トロ90%のマグロを「生産」する
日本人の食べるウナギの70%がヨーロッパ生まれの中国育ち
貝の不当表示は業界の常識!?
「白身魚」は深海魚からアフリカの淡水魚の時代へ
「本物のシシャモ」は全体の5%以下

日本は世界一の魚消費国。しかし生産量(漁獲+養殖)ではすでに世界第6位まで落ちている。乱獲が進み、養殖も環境破壊など問題山積。私たちはいつまで魚を食べ続けることができるのか。身近な話題でありながら、知られてこなかった現実を明らかにする。

トロ90%のマグロを作る
畜養されるマグロは、数ヵ月から半年の間にイワシやサバ、イカなどを粉末にした濃厚な飼料を大量に与えられ、丸々と太り、脂が乗った体になる。(中略)天然のマグロは、寒い時でないと脂が乗らず、いいトロが取れる時期も海域も限られるが、畜養は違う。濃厚な飼料を与えることで、霜降りの松阪牛のように全身に脂が乗ったトロを「生産」することができる。天然物では体重の20%もトロがある魚はそうはいないのだが、畜養だと90%近くがトロかトロに近い状態というマグロも作れるそうだ。最近では、飼育期間を長くしてさらに太らせたマグロを作ろうとの試みも進んでいる。餌はイワシやサバなど脂の多い魚を与えてトロの多いマグロに育てるというのが一般的らしく、赤い色を付けるためにサクラエビのようなエビを餌に混ぜることもあるという。あまり大量にイワシなどを与えると魚肉が生臭くなってしまうので、与える餌の量や出荷時期と餌の加減などに業者は工夫を凝らしているらしい。――<本書より>


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目次

第1章 乱獲の実態
 1.海から魚がいなくなる?
 2.マグロ
 3.ウナギ
 4.サバ
 5.タラ
 6.イカとタコ
 7.銀ムツ
 8.サメ
 9.乱獲の経済学
第2章 養殖は漁業を救えるか
第3章 不当表示と代用品
第4章 漁業の明日

書誌情報

紙版

発売日

2005年08月20日

ISBN

9784061498044

判型

新書

価格

定価:814円(本体740円)

通巻番号

1804

ページ数

288ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介