漢詩のこころ 日本名作選

漢詩のこころ 日本名作選

カンシノココロニホンメイサクセン

講談社現代新書

詩が生まれた風景を旅する
空海、謙信と信玄、良寛、西郷、乃木、漱石…21人の感慨を追体験!

空海との別れを惜しむ嵯峨天皇の「海公と茶を飲み、帰山を送る」
薔薇の花をこよなく愛した武田信玄の「薔薇」
藩の武力革命を決意した高杉晋作の「二十五日鴻城、井上聞多を訪ね、主人の韻に次す」
沖永良部島に流された西郷隆盛の「獄中所感」
江戸城無血開城を実現させた勝海舟の「江戸城明渡」
対露戦の多大な犠牲を恥じる乃木希典の「凱旋に感有り」
大病を患い死線をさまよう夏目漱石の「無題 明治四十三年九月二十日」

漢詩が生まれた「現場」を訪ねる
中国の広大な天地では、なかなかそうはいかないが、日本の漢詩人の場合は、良寛の詩にかぎらず、その詩人がある時期すごした場所を訪ねようと思えば、それができる。たしかに手間、暇のかかる作業であったが、それだけ日本の漢詩人と共有する時間を持つことができたのは楽しいことであった。他にもたとえば、菅原道真でいえば、大宰府遷謫(せんたく)期の漢詩数篇を、日本のボードレールといわれた柏木如亭の漢詩は、京の真如堂の草庵で詠まれた数篇を、下関長府の功山寺で維新回天の事業を出発させた高杉晋作の漢詩は、その前後の時期の数篇を、夏目漱石の場合は、起死回生の大患に遭った修善寺病臥の漢詩数篇をとりあげてみた。――<本書より>


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目次

嵯峨帝と空海の交誼
菅原道真の遷謫
謙信と信玄の禅風
伊達政宗の風流
徳川光圀の隠逸
菅茶山の詩想
亀田鵬斎の豪磊
一字庵菊舎の漂泊
釈良寛の童心
柏木如亭の風狂
広瀬淡窓の旅愁
亀井少琴の風韻
恒遠醒窓の閑適
釈月性の攘夷
高杉晋作の狂狷
西郷隆盛の敬天
勝海舟の天真
乃木希典の含羞
夏目漱石の回生

書誌情報

紙版

発売日

2006年01月20日

ISBN

9784061498242

判型

新書

価格

定価:836円(本体760円)

通巻番号

1824

ページ数

272ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介