
江戸時代の設計者
エドジダイノセッケイシャイノウノブショウトウドウタカトラ
- 著: 藤田 達生

伊予藩主・藤堂高虎は外様大名としては異例の信頼を幕府から得た。それは彼が日本で初めて「藩」を構想しえた政治家だったからだ。司馬遼太郎に「世渡り上手」と酷評された藤堂は、身長190cmの偉丈夫にして、きめ細かな築城術にたけたテクノクラートだった。しかし、彼がもっとも評価されるべきは、豊臣時代の中央集権に限界を見出し、地方分権国家を構想して近世の扉を開いたことにある。近世の成立を新史観で明かす。
徳川家康に天下を取らせ 城を、藩をつくった近世のプロデューサー
司馬遼太郎に「世渡り上手」と酷評された戦国武将、藤堂高虎は、身長190cmの偉丈夫にして、きめ細かな築城術にたけたテクノクラートだった。しかし、彼がもっとも評価されるべきは、豊臣時代の中央集権に限界を見出し、地方分権国家を構想して近世の扉を開いたことにある。
日本に「藩」を創った男
20世紀を造形した「中央集権」「官僚制」の限界に直面し、「市民」の願いが直接反映される合理的な国づくりがめざされるようになった。かかる動向のなかで、現在「地方分権」が注目され、分権国家への様々な模索がなされているのである。そのような今日、藤堂高虎(1556~1630年、藤堂藩三十二万石の初代藩主)が家康の参謀として取り組んだ改革、とりわけ藩≪くに≫づくりには学ぶべきことが多い。――<本書より>
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目次
第1章 立志伝――渡り奉公人から大名へ
1.織田政権下の近江――主君を求めて
2.豊臣秀長に仕える――参謀との出会い
3.直臣大名への抜擢――戦乱から復興へ
第2章 大坂の陣――国家分裂の危機
1.要塞群の配置――豊臣恩顧大名の監視
2.実像の大坂包囲網――西国支配を固める
3.キリシタン禁令――大坂の陣への序曲
4.将軍家確立のために――松平忠輝事件
第3章 豊臣体制の克服――藩≪くに≫を創る
1.城づくり・町づくり――合理性の追求
2.画期としての今治築城――新型城郭の創造
3.藩領の形成――流通構造の転換
4.藩府・津の誕生――東海の商都めざして
書誌情報
紙版
発売日
2006年03月18日
ISBN
9784061498303
判型
新書
価格
定価:814円(本体740円)
通巻番号
1830
ページ数
264ページ
シリーズ
講談社現代新書
電子版
発売日
2016年10月07日
JDCN
0614983000100011000W