芸術とスキャンダルの間

芸術とスキャンダルの間

ゲイジュツトスキャンダルノアイダセンゴビジュツジケンシ

講談社現代新書

世間を驚愕させた「美術事件」
あなたはいくつ知っている?

●滝川太郎贋作事件 
●国際的詐欺師・ルグロの手口
●謎の「佐伯祐三」
●陶芸界最大の醜聞「永仁の壺」
●「佐野乾山」騒動
●三越を揺るがした「ペルシアの秘宝」
●「ガンダーラ仏」をめぐるお粗末
●棟方志功の「板画」流出
●名画盗難と三億円強奪事件
●ロートレック「マルセル」の盗難
●昭和天皇コラージュ問題
●模型千円札裁判
ほか

ルグロ自身は贋作をしない。無名画家に贋作を描かせ、それをホンモノに仕立て上げていくのである。その手口は鑑定書や認証書を積み重ねていくという方法である。たとえば、ドランの贋作があるとする。これを鑑定人に見せ、ドラン作という鑑定書を書かせる。この場合、鑑定人は有名でなければならず、そのためルグロはパシッティというパリ裁判所公認の鑑定人を抱きこんだのである。さらに、人がよくて高齢で目がよく見えないドラン未亡人の元へ贋作をもっていき、ドランが描いたものであるという認証書を取りつける。当然それなりの謝礼は払っただろうが、結果から考えればたいした額ではない。鑑定書と認証書によって、贋作はだんだんホンモノになっていく。――<本文より>


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目次

第1部 贋作編
 第1章 天才詐欺師・滝川太郎
 第2章 ルグロにだまされた国立西洋美術館
 第3章 謎の佐伯祐三現わる
 第4章 永仁の壺という捏造
 第5章 佐野乾山騒動
 第6章 北大路魯山人の怪
 第7章 三越事件と古代ペルシア秘宝展
 第8章 贋作を擁護した奈良博
 第9章 棟方志功には、なぜニセモノが多いのか
第2部 盗難・裁判編
 第10章 名画盗難と三億円強奪事件
 第11章 ロートレックの「マルセル」盗まる
 第12章 昭和天皇コラージュ版画騒動
 第13章 模型千円札裁判
 第14章 パロディに著作権の壁

書誌情報

紙版

発売日

2006年08月19日

ISBN

9784061498549

判型

新書

価格

定価:836円(本体760円)

通巻番号

1854

ページ数

288ページ

シリーズ

講談社現代新書

著者紹介