
存亡の条件
ソンボウノジョウケン

西欧・アメリカ・中ソ――我々には常に先達があり、その模倣こそが我々の生きる唯一の方法論であった。しかし模倣ですむ幸福な時代は去った。苛烈な国際社会を自らの思考と方法で生きねばならぬ今日、一等必要なのは明確な自己把握とその他国への伝達である。そのような視点か試みられた日本再認識の企てが本書である。ここでは著者の犀利な筆によって思いがけない日本文化の基本型が明らかにされ、鮮烈な自己規定が実現されている。
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目次
第1章 進歩と停滞
・チャンブリ人の男と女
・或る結婚と離婚の形態
・神託請いは「識者アンケート」
・セラピス神殿の秘密
・未亡人ババタの残した書類 ほか
第2章 民族と滅亡
・異質文化の衝撃と波及的効果
・客観的な、あまりに客観的な――
・ヨセフスの前半生
・祖国と敵国の間で一人二役
・“解放”という名の押し付け――その起源 ほか
第3章 指導者とその時代
・カリスマ的指導と「時代」
・政治屋稼業の本質
・マッカーサー時代の終り
・明治維新の志士は社会党員だった
・輸入理論のやっかいな処理法
第4章 合理と非合理
・東は東、西は西でない――合理・非合理について
・知識人もまた武装する
・心理的解決としての“終戦”
・“牢獄の中の天皇”論
・奇妙な前提――〈私は正しい〉 ほか
第5章 直線と回帰
・〈一〉をして〈一〉ならしめる概念
・〈あれか、これか〉以外の対象把握法
・〈歴史〉は一方向に進むものか
・原初的終末論の横行
・マルクス主義とインド的世界の対比 ほか
第6章 虚構と偶像
・偶像に感情移入――臨在感的把握
・絶対者に対する信仰が崩れる時
・あったがままを編むのが歴史である
・正統・異端論争の分岐点
・日本的な〈正統・異端〉考 ほか
第7章 啓蒙時代の果て
・他力本願からの脱却
・演じられる思想の自由な観客
・自らの手で自由な思想を選択する ほか
書誌情報
紙版
発売日
1979年05月08日
ISBN
9784061583948
判型
A6
価格
定価:748円(本体680円)
通巻番号
394
ページ数
197ページ
シリーズ
講談社学術文庫