
方丈記
ホウジョウキ
- その他: 安良岡 康作

鴨長明が隠棲した、京都市日野山の、方丈の庵の跡に立つ時、人は、そこの生活が、いかに苛酷なものであったかを思わぬ者はないであろう。彼は、日野山における孤独と寂寥と窮乏に堪え、自己の生涯の帰結をこの庵の生活に求めて、その中に、深い「閑居の気味」を見いだしている。『方丈記』は、この閑居生活の真実な表現であって、いつの世の読者にも、現実社会の煩累を越えて、自己を深く生かす道を示唆してやまないものがある。
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目次
1 行く河の流れは絶えずして―人と栖(すみか)との無常―
2 予、ものの心を知れりしより―安元の大火―
3 また、治承四年卯月のころ―治承の辻風―
4 また、治承四年水無月のころ―福原への遷都―
5 また、養和のころとか、久しくなりて―養和の飢饉―
6 また、同じころかとよ、おびたたしく大地震なる事―元暦の地震―
7 すべて、世の中のありにくく―世の中に生活する悩み―
8 わが身、父方の祖母の家を伝へて―出家・遁世と方丈の庵―
9 いま、日野山の奥に跡を隠して後―日野山の草庵生活の種々相―
10 おほかた、この所に住み始めし時は―草庵生活の反省―
11 それ、三界は、ただ、心一つなり―草庵生活における閑居の気味―
12 そもそも、一期の月影傾きて―草庵生活の否定―
『方丈記』概説
書誌情報
紙版
発売日
1980年02月07日
ISBN
9784061584594
判型
A6
価格
定価:1,298円(本体1,180円)
通巻番号
459
ページ数
314ページ
シリーズ
講談社学術文庫
著者紹介
その他: 安良岡 康作(ヤスラオカ コウサク)