
日本人の言霊思想
ニホンジンノコトダマシソウ

古代の人は言葉に精霊が宿ると信じ、霊妙な力が人の幸不幸を左右すると考えた。これらの痕跡を、文献・伝承等に探り、祝詞の言霊・万葉人の言霊・仏教の言霊・名に宿る精霊・近世国学者の言霊観などの諸相に捉え、「言事融即」の観点から精細に考察する。外からの押付け言語政策、民族語のもつ母語固有の言霊、自国憲法に言語規定をもつ諸国、言語不信をかこつ言論、汎言語主義の病弊など、爼上に究明して言霊思想の回帰点に及ぶ。
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目次
1 言霊(ことだま)思想の原点
1.言霊とは
2.コト(言・事)の融即観から
3.言霊の神がみ
2 古代人の言霊生活
1.ミコトモチ・ミコトノリ
2.コトアゲ・コトアゲ制禁
3.コトムケ・コトダテ・コトドヒ
3 万葉人の言霊の歌
1.招迎・祓除の歌
2.鎮魂の歌
3.夕占問(ゆふけどひ)の歌
4.名前の歌
5.人麿の「事霊」と憶良の「言霊」
4 祝詞(のりと)の言霊思想
1.祝詞と言霊
2.撰善言司(よごとつくりのつかさ)
3.ノリトの変化
4.呪術氏族と鎮護詞(いはひごと)
5 名にヤドル精霊たち
1.神名・地名
2.古代人・王朝女流の名
3.実名の敬避
4.イミナ(諱)とオクリナ(諡)
6 仏教の言霊思想
1.法語
2.読経
3.念仏
7 近世国学者の言霊思想
1.言霊の発掘
2.三大家
3.音義言霊説
8 近現代の言霊思想の問題
1.言霊と異民族の接触
2.言葉の呪縛
書誌情報
紙版
発売日
1980年05月08日
ISBN
9784061584839
判型
A6
価格
定価:968円(本体880円)
通巻番号
483
ページ数
241ページ
シリーズ
講談社学術文庫