好色五人女

好色五人女

コウショクゴニンオンナ

講談社学術文庫

「八百屋お七」「お夏清十郎」「樽屋おせん」など実際に起こった5つの恋愛事件を小説化した『好色五人女』は、デビュー作『好色一代男』とともに西鶴の代表作である。封建制度のきびしい身分制社会にあって、個人の愛を貫くことの難しい中で彼女たちの悲劇を暗くのみには描かず、死をも恐れぬ大胆ひたむきな恋愛に殉ずる女性の姿を、ヒューマニズムの色濃く、見事に描出した傑作。芭蕉の俳諧、近松の浄瑠璃とともに元禄文学の粋である。


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目次

巻一 姿姫路清十郎物語
 1 恋は闇夜を昼の国室津にかくれなき男あり
 2 くけ帯よりあらはるゝ文姫路に都まさりの女あり
 3 太鼓に寄る獅子舞はや業は小袖幕の中にあり ほか
巻二 情を入し樽屋物語
 1 恋に泣輪の井戸替あひ釣瓶(つるべ)も思ひに乱るゝ繩あり
 2 踊はくづれ桶夜更て化物人は恐ろしや蓋して見せぬ心あり
 3 京の水もらさぬ中忍て合釘目印の錐紙に書付てあり ほか
巻三 中段に見る暦屋物語
 1 姿の関守京の四条は生きた花見あり
 2 してやられた枕の夢灸据(やひゝ)ゆるより思ひに燃(もゆる)あり
 3 人をはめたる湖死もせぬ形見の衣装あり ほか
巻四 恋草からげし八百屋物語
 1 大節季は思ひの闇借着の袖に二つ紋あり
 2 虫出し神鳴もふんどしかきたる君様化物恐れぬ新発意あり
 3 雪の夜の情宿恋の道知る似せ商人あり ほか
巻五 恋の山源五兵衛物語
 1 連吹の笛竹息の哀や薩摩に隠れなき当世男あり
 2 もろきは命の鳥さし床は昔となる若衆あり
 3 衆道は両の手に散る花 中剃はいたづら女あり ほか

書誌情報

紙版

発売日

1984年09月06日

ISBN

9784061586543

判型

A6

価格

定価:1,540円(本体1,400円)

通巻番号

654

ページ数

523ページ

シリーズ

講談社学術文庫

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