
西欧の衝撃と日本
セイオウノショウゲキトニッポン

近代日本の歴史は、西洋文明の衝撃の下で東アジアの一文明が示した対応の記録であるから、その2つの世界の間で相互作用的に起った事件を観察・分析し、そして大世界史の流れの中へ日本の歴史を組みこもうとした……。西洋の多圧と対応の関係の中で展開された近代日本の歴史に焦点をしぼり、シンボリカルな忠実や人物をとり上げて比較文化史的なアプローチを試みた、西洋史や日本史の枠を越えた広角の視野に立つ新しい歴史書である。
- 前巻
- 次巻
目次
●1 イエズス会士や商人たち――膨脹するヨーロッパ――
泰西の儒者、マッテオ・リッチ/天主実義/西暦1600年の世界 ほか
●2 東西両洋の試験制度――勤勉の伝統と近代化の起動力――
平安朝日本の科挙の制度/リッチが報告した科挙の制/西洋世界の試験制度 ほか
●3 尊王攘夷と開国和親――明治維新と群集心理――
聞書か創作か/幕末期の精神状況/開国和親の布告 ほか
●4 幕末維新の渡航者たち――攘夷、親米、反米の心理――
留学生の精神的系譜/西洋人がみた吉田松陰/西洋人に向って語る新島襄 ほか
●5 西と東のナショナリズム――明治日本の庶民の心――
英語で書かれた明治文学/三国干渉とその反響/喇叭のひびき ほか
●6 ロシヤにこだまする「黄禍論」――西洋帝国主義者のアジア観――
蒙古来/アジア的専制/ヘーゲルやゲーテの「東洋」 ほか
●7 乃木将軍と森鴎外――西欧化日本と和魂の行方――
さまざまな乃木解釈/乃木さんとの出合い/乃木勝典少尉のこと ほか
●8 非西洋の近代化とその焦り――国民感情と国家理性――
集団的愛国的自負/国民感情と国家理性/革命後第1世代と第2世代の差
●9 軍人の栄辱――日本における国家主義と国際協調主義――
「ローレット」/規律と良心/藩閥以後の1エリート ほか
●10 クローデルの天皇観――日本のこころを訪れる眼――
日のもとの黒鳥/明治天皇/明治神宮 ほか
●あとがき――比較文化史的アプローチ――
「非西洋」としての東洋/比較文化史的アプローチ/一身二生 ほか
書誌情報
紙版
発売日
1985年10月04日
ISBN
9784061587045
判型
A6
価格
定価:1,430円(本体1,300円)
通巻番号
704
ページ数
504ページ
シリーズ
講談社学術文庫
著者紹介
装丁: 蟹江 征治(カニエ セイジ)