不機嫌の時代 不機嫌からの精神史的考察

不機嫌の時代 不機嫌からの精神史的考察

フキゲンノジダイ

講談社学術文庫

日本の近代文学者を広く襲い、その内面を覆った影のひとつに“不機嫌”という気分があった。生きることにまつわる苦痛、不安、鬱屈(うつくつ)等々の、とらえどころのないもやもやした雰囲気を、鴎外、漱石、荷風、直哉らの作品を通し、これを「人間生活の根本的な状態」という特別な意味をこめて独創的に把握した。近代的な自我形成の歴史の流れのなかで、不機嫌を20世紀の人間学のきわめて重要な概念として細密に描きわけた長篇文芸評論。


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目次

●第1章
 1 不機嫌の自覚――志賀直哉
 2 その時代――荷風と漱石
 3 気分の構造――鴎外
●第2章
 1 「私」と「公」の乖離
 2 感情の自然主義
●第3章
 1 「それから」の時間
 2 「明暗」の行動
●第4章
 1 傍観と自虐
 2 不機嫌と実存の不安

書誌情報

紙版

発売日

1986年02月05日

ISBN

9784061587212

判型

A6

価格

定価:1,056円(本体960円)

通巻番号

721

ページ数

282ページ

シリーズ

講談社学術文庫

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