
仏教伝来と古代日本
ブッキョウデンライトコダイニホン

日本の古代国家建設に仏教はどんな影響を与えたのか。本書において著者は、王権を目指して伝来した仏教が、日本における国家仏教として成立するまでの課程や、律令国家と仏教との関係、神道と仏教との相違点等を概観して、宗教が天皇政治の本質に深く係っていたことを強調する。同時に、その後の日本仏教の歴史をみると、国家・政権の側から仏教を必要とすることはなく、古代の終焉はまた国家仏教の終焉でもあった、と結論づける。
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目次
1 仏教伝来の道
1.王権を目指して広まった仏教
2.仏教伝来の道を往還した人びと――中国・西域
3.文化的にも主導権を握っていた中国の皇帝
4.朝鮮半島三国における仏教伝来の道
5.日本における仏教伝来の道
6.仏教伝来の道を往還した人びと――新羅・日本
2 聖徳太子と半跏思惟像(はんかしいぞう)
1.遣隋使を派遣したのはだれか
2.三つの法隆寺
3.仏教の都――飛鳥
4.半跏思惟像と新羅の花郎
5.紅蓮(ぐれん)の火中からよみがえる「聖徳太子」
6.中大兄と「聖徳太子」
7.東アジア世界のなかの「聖徳太子」
3 古代朝鮮の弥勒信仰
1.「私宅仏教」と「伽藍仏教」
2.仏教の「下賜」と「贈与」
3.出家者と在家者
4.弥勒上生信仰――兜率(とそつ)天の弥勒菩薩
5.弥勒下生信仰――竜華三会(りゅうげさんね)の弥勒如来
6.三つの弥勒像――交脚倚坐(こうきゃくいざ)像
7.三つの弥勒像――如来像
8.三つの弥勒像――半跏像
9.二種の半跏像――大型と小型
10.花郎と半跏像
11.半跏像=弥勒信仰の日本伝来
12.僧・尼なき弥勒信仰の流伝
4 宇佐八幡の誕生
1.宇佐八幡の登場
2.大仏造立と渡来人
3.宇佐八幡の特性
4.神職、大神(おおが)氏・辛嶋氏と道教
5.宇佐八幡の道教と香春(かわら)岳の銅
6.宇佐八幡の誕生と朝鮮
5 神仏習合とその源流
1.仏教伝来の意味
2.国神(くにつかみ)と他国神
3.集落の神と山岳の神
4.天皇と仏教
5.神祇(じんぎ)と仏教の差異
6.崇仏・反仏の対立とその結着
7.天皇家の仏教受容
8.神と仏の同列・同格の段階
9.律令国家のなかの神祇と仏教
10.神祇官の成立
11.天皇現人神(あらびとがみ)思
書誌情報
紙版
発売日
1986年03月05日
ISBN
9784061587250
判型
A6
価格
定価:1,012円(本体920円)
通巻番号
725
ページ数
296ページ
シリーズ
講談社学術文庫
著者紹介
装丁: 蟹江 征治(カニエ セイジ)