
日本のことばとこころ
ニホンノコトバトココロ

人間にとって、ことばとは何なのか、民族にとって、言語とは何なのか。われわれ日本人は、はるかな遠い昔から一言語・一民族・一国家という、世界でも稀な言語圏を形成してきた。その日本語の内に秘めている日本のこころとは何なのか。40余年間、外国人に日本語を教えてきた経験から、母国語を内面から支え、動かしているもの──日本語を日本語としてまとめあげていく潜在的思考──のパタンを丹念に彫り上げた新生面の言語論。
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目次
●1 ことばの視点
1 「われ」という存在
2 「はい」と「いいえ」
3 話し手の「われ」と周囲の世界
4 「うち」と「よそ」
5 「個」の意識
6 已然と未然
7 述語の具象性と抽象性
8 「ある」「いる」と話し手の実存
9 「──ている形」のあらわすもの
10 助動詞の「た」をめぐって
11 形容詞の「ない」について
12 形容詞と話し手
13 「行く」と「来る」
14 「来る」の一族と話し手
●2 文章の仕組み
1 文章と文と省略と
2 「は」と格助詞と
3 「は」と文脈の流れ
4 話し手の立つ位置と主語
5 格助詞「が」の示す対象
6 「も」について
7 「のだ」の効用
8 対話における助詞の省略
●3 対人関係への配慮
1 日本語と人づきあいの重み
2 敬意と敬語
3 待遇表現の主語と聞き手
4 立場の選択と決断──「あげる」と「くれる」
5 「くれる」に秘められた話し手のこころ
6 「もらう」と「あげる」の心理的展開
7 「に」における人間性の重み
8 「を」の人間味
●4 音声と文字表記
1 理解のかげに
2 日本語の音声と表記──[拍]をめぐって
3 高低アクセントの障壁
4 文とアクセント節
5 文脈と心理と音声と
6 障壁を越えて
書誌情報
紙版
発売日
1986年10月06日
ISBN
9784061587571
判型
A6
価格
定価:961円(本体874円)
通巻番号
757
ページ数
304ページ
シリーズ
講談社学術文庫