
仏教信仰の原点
ブッキョウシンコウノゲンテン
- 著: 山折 哲雄

日本人の宗教信仰の核心をなしているものは何か。本書は、奈良時代の遊離魂信仰、平安時代の鎮魂儀礼、鎌倉時代の成仏・往生思想の3つの観点から、これを歴史的に考察した。庶民の生活実感の中に深くしみこんでいる信仰、即ち祟り信仰に対して、その祟りを排除するために行われた空海の加持祈祷の儀礼をはじめ、親鸞・道元等の仏教思想との葛藤は、今日も本質的に変わっていないと説く。仏教信仰の原点を問い直した最新の意欲作。
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目次
1 仏教信仰の原点
1.奈良時代の遊離魂信仰
2.平安時代の怨霊信仰と鎮魂儀礼
3.鎌倉時代の成仏・往生思想
2 密教儀礼と空海
1.真言院の建立と「物の怪」の時代
2.大嘗祭と密教儀礼
3.玉体加持の儀礼――内部霊の強化と外部霊の排除
4.道鏡から空海へ――看病僧の流れ
3 都市と心霊信仰
1.神秘的なものへの関心の高まり
2.現代物理学者の宇宙感覚
3.人間の原初的な霊性体験
4.都市の中の死角と新宗教
4 東北元始のこころ
1.中央経由で受容された文化
2.坂上田村麻呂と慈覚大師
3.東北独自の宗教的現象
4.東北における「山」
5 死との交わり――3つの型
1.再生への確信――インドの場合
2.インド人の祖先崇拝
3.インド人の人生観
4.自然や現代との断絶――アメリカ人の場合
5.霊山に集まる死者の魂――日本人の場合
6.高野山と納骨信仰
6 親鸞と道元
1.体で示す文化の型
2.容貌に見る人間の大きさ
3.比叡山における修行体験
4.師にたいする態度
5.弟子にたいする態度
6.人間と思想の比較
7.『正法眼蔵随聞記』と『歎異抄』
8.和歌と和讚
書誌情報
紙版
発売日
1986年10月06日
ISBN
9784061587601
判型
A6
価格
定価:968円(本体880円)
通巻番号
760
ページ数
254ページ
シリーズ
講談社学術文庫