
日本仏教思想の源流
ニホンブッキョウシソウノゲンリュウ

本書は、日本の仏教史上に登場する代表的なカリスマたちがいかにして自らの宗教意識を体得したかを探る。空海における密教的な神秘思想、独得の密教解釈で新風を起こした覚鑁(かくばん)、道元の「正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)」の哲学的詩篇と白楽天の詩的世界の関係、常に「日本国」を発想の根底に据えた日蓮のナショナルな危機意識、風狂僧一休の虚構と真実の世界など、時代的背景と豊富な文献を巧みに駆使して、新仏教誕生に果たした姿を独自の視点から描く。
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目次
●1 空海――密教の世界
1 記憶――方法(1)
2 比較――方法(2)
3 詩と言語――感性(1)
4 詩とことば――感性(2)
5 神秘への跳躍――加持(かじ)・入我我入(にゅうががきゅう)・即身成仏(そくしんじょうぶつ)
6 象徴と形而上学――印契(いんげい)・真言・陀羅尼(だらに)
7 祈祷の国家的水準
8 国家との入我我入
●2 覚鑁(かくばん)――密教の内蔵認識
1 空海と覚鑁の位相
2 覚鑁の宗教的立場
3 五蔵観の特質
4 呼吸法と心相観
●3 道元――白楽天と二人三脚
1 珠(たま)
2 鏡
3 夢
●4 日蓮――危機意識の構造
1 鶴屋南北の日蓮劇
2 帰属意識の性格
3 ナショナルな危機意識とインターナショナルな認識
4 霊と呪(じゅ)
●5 一休――虚構と真実
1 老と幼と鳥
2 虚構としての自殺
3 「年譜」の軌道修正
4 「母」コンプレックス
5 「父」と聖王イメージ
6 逆行三昧の虚実
7 墜落した恋法師(こいほうし)
小結
書誌情報
紙版
発売日
1987年09月04日
ISBN
9784061588035
判型
A6
価格
定価:1,012円(本体920円)
通巻番号
803
ページ数
318ページ
シリーズ
講談社学術文庫