芭蕉の世界

芭蕉の世界

バショウノセカイ

講談社学術文庫

江戸元禄期、俳諧を単なる言葉の遊びから人生詩へと大きく発展させた芭蕉。本書は、その芭蕉の天和(てんな)期の漢詩文調から元禄期の“軽み”への道に至るまでの作品の内面的世界に焦点をあて、俳諧の座という仲間との係わりの中で、“笑い”の意味を追求し、さらに古人の詩心をたずねて『おくのほそ道』へと出立し、ついにその俳諧精神“不易流行論”を確立した過程を、広い視野からとらえた。座の文学の新視点から描いた異色の芭蕉文学論。


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目次

●1 芭蕉の誕生
・芭蕉誕生前/杜甫の佗びをはかる/孤独の底の共感/杜甫の詩境/盥(たらい)に古人の詩情を聞く  ほか
●2 「野ざらし」の旅
・旅立ちの心/観念と感覚の乖離(かいり)/猿を聞く人/天命の悲しみ/木枯しの姿 
●3 「冬の日」の交響(1)
・連句のルール/発句・脇・第三/四句目から六句目まで/初裏(しょうら)の一句目から六句目まで
●4 「冬の日」の交響(2)
・初裏の七句目から十二句目まで/名残の表六句目まで/名残の表七句目から十二句目まで/名残の裏
●5 「笈の小文」の旅
・風狂の旅人/能舞台のワキ僧/吉野の桜/須磨・明石/蛸の夢
●6 「猿蓑」の達成
・俳諧史の展開/都近き心/閑の系譜/連衆心(れんじゅしん)の中で/「猿蓑」の達成
●7「軽み」への道
・軽みへの志向/重みと軽み/点取俳諧の流行/「軽み」への新たな決意/日常性の中の詩/自由無碍(むげ)の境地
●8 『おくのほそ道』の世界
・『おくのほそ道』の執筆時期/首尾の照応/三角形の構図/前半と後半と/曾良の旅日記との比較  ほか
●9 不易流行
・老荘的筆法/この一筋/造化随順/不易流行論の構造/不易流行論の必然性
●10 本情論
・詩領域の拡充と表現の自由/「松のことは松に習へ、竹のことは竹に習へ」/本情論/風光の真本意と本情

書誌情報

紙版

発売日

1988年03月04日

ISBN

9784061588226

判型

A6

価格

定価:1,100円(本体1,000円)

通巻番号

822

ページ数

350ページ

シリーズ

講談社学術文庫

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