
古代日本と朝鮮・中国
コダイニホントチョウセン・チュウゴク

近年、東アジア世界の古代日本と朝鮮・中国の関係が論ぜられるようになって久しい。本書は、古代史専攻の著者が成した数多くの論文の中から、特に三国関係のものを選んで収録した。「朝鮮からの渡来人」をはじめ、「神功皇后伝説の成立」や「朝鮮の間諜の活躍」、また日中文化交流に欠かせない「舶載鏡の話」など、和歌をたしなむ著者ならではの繊細にして温雅、しかもわずかの妥協も許さぬ厳しい歴史家の目が随所に光る好著といえよう。
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目次
1
1.朝鮮半島からの渡来人
1.アメノヒボコ伝承
2.秦氏と大蔵
3.難波・住吉と渡来人
4.吉備の渡来人と豪族
2.神功(じんぐう)皇后伝説の成立
1.神功伝説と歴史的事実
2.神功皇后の実在性について
3.神功伝説の成立時期について
3.古代史のなかの江田船山古墳
4.古代朝鮮における間諜の活躍
1.金ゆ信と藤原鎌足
2.金ゆ信と間諜
3.朝鮮の間諜のさまざまな例
4.古代日本の間諜について
5.新羅が日本にさしむけた間諜・迦摩多(かまた)
6.間諜となって国事に奔走した朝鮮の僧侶
2
1.定恵の渡唐―飛鳥・白鳳期仏教の性格に関する一試論
1.定恵の経歴
2.定恵の出家入唐(につとう)の謎
3.僧侶と政治
4.国家仏教の思想
5.鎌足の信仰と定恵の入唐
6.定恵の死
2.近江朝末年における日唐関係
――唐使・郭務そうの渡来を中心に――
1.唐使・郭務そうの来日
2.天智朝末年の唐・羅・日の関係
3.百済難民輸送説
4.威圧懐柔説・謀略部隊説
5.救援の要請と捕虜の返還
6.捕虜返還説の根拠
3.奉翳(ほうえい)美人――平城宮廷に演ぜられた唐風の舞
4.日本と江南地方との交渉――鏡に秘められた謎
1.日本と中国を結ぶ道
2.呉の工匠渡来説への疑問
3.王説と邪馬台国畿内説の関係
4.4、5世紀の日中の交渉
5.日中文化の交流と鏡
書誌情報
紙版
発売日
1988年09月05日
ISBN
9784061588455
判型
A6
価格
定価:1,100円(本体1,000円)
通巻番号
845
ページ数
316ページ
シリーズ
講談社学術文庫
著者紹介
装丁: 蟹江 征治(カニエ セイジ)