
世界に於ける日本美術の位置
セカイニオケルニホンビジュツノイチ
- 著: 矢代 幸雄

応挙の絵は写実的か。法隆寺壁画の特徴は雄渾美か。日本の名品を世界美術の視野に置いて見れば、際立つものは、むしろ優美艶麗な装飾美にほかならない。美術史家として国際的に活躍した著者は、日本美術鑑賞の「常識」を本書で敢然と覆す。芸術に対する公正な愛情を貫いた記念碑的な名講演(1934年)に、美の再興への思いほとばしる終戦直後の一論を加え、真の文化交流への道を提言。その語りは清新、芳烈の気を放ち、心を打つ。
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目次
●国際文化としての日本美術 序説として
・敗戦後の日本
・明治初年と現在
・外国研究のやり直しと批判的摂取
・米国文化と日本
・外国研究に於ける要点の理解と困難
・笑えぬ誤解
・日本文化の海外進出について
・文化の意義
・いわゆる文化外交
・日本の国際文化事業に対する疑惑
・日本の文化力とその世界文化に対する貢献
・戦後初めての奈良京都への旅――サムソン卿とジョンソン大使
・西芳寺の庭を前にして結ばれたる東西の心
・個人外交ということ
●世界に於ける日本美術の位置
[序説]
・世界に於ける日本美術の認識
・美術の世界性
・日本美術に対する世界的批判の必要
・日本美術の不評判
・日本の対外宣伝と美術
[日本彫刻論]
・日本彫刻に於ける立体性の欠陥
・鎌倉彫刻と写実の限界
・宗教芸術の象徴性と静相の彫刻
・推古天平弘仁の大彫刻
・藤原彫刻の感傷性
・日本木彫論
[日本絵画論]
・水絵具と油絵具
・日本絵画とイタリアの壁画
・日本絵画の装飾性――大和絵――光琳派とその源流
・日本絵画の多彩――日本水墨画――日本絵画に於ける雪の描出
・日本絵画の印象主義――浮世絵
・日本肖像画論
・日本仏画の感傷的傾向――来迎芸術
・絵巻物論
・禅宗絵画と文人画
書誌情報
紙版
発売日
1988年12月05日
ISBN
9784061588578
判型
A6
価格
定価:880円(本体800円)
通巻番号
857
ページ数
210ページ
シリーズ
講談社学術文庫