
与謝無村
ヨサブソン

蕪村は、正岡子規によって発掘されて芭蕉以上の評価を受け、萩原朔太郎によりその浪漫的な郷愁の詩人としての一面が強調された。本書では在来の安易な解釈を斥けて、一字一音一句をもゆるがせにしない批評眼で、画人蕪村・俳人蕪村が渾然一体となる詩心の神髄を解明する。「春風馬堤曲」等の俳体詩や発句の数々に溢れる清新なイメージと幻想を追って発想の契機、創作心理にまで迫る鑑賞と評論の書。
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目次
・「澱河歌」の周辺
・「春風馬堤曲」新釈
・「北寿老仙をいたむ」のわかりにくさ
[鑑賞篇1]
鮎くれてよらで過行夜半の門
雨と成恋はしらじな雲の峯
うぐひすのあちこちとするや小家がち
牡丹散て打かさなりぬ二三片 ほか
・文人の句――桃李の道(1)
・竹渓訪隠――桃李の道(2)
・画俳――桃李の道(3)
・碑にほとりせん
[鑑賞篇2]
なには女や京を寒がる御忌詣
うすぎぬに君が朧や峨眉の月
野とゝもに焼る地蔵のしきみ哉
紅梅の落花燃らむ馬の糞 ほか
・季題考
春水開眼
薺の花
父と娘 ほか
・真贋
・蕪村との出会い
・蕪村余瀝
・蕪村小伝(年譜)
書誌情報
紙版
発売日
1991年04月08日
ISBN
9784061589650
判型
A6
価格
定価:1,068円(本体971円)
通巻番号
965
ページ数
374ページ
シリーズ
講談社学術文庫
著者紹介
装丁: 蟹江 征治(カニエ セイジ)