
仏道入門 四十二章経を読む
ブツドウニュウモンシジュウニショウキョウヲヨム

「四十二章経」は仏教の中国への東漸を証す漢訳経典の嚆矢(こうし)。仏教に初めて出会う人々に釈敬の諭(さと)しのエッセンスを、42の項目に要約して伝える狙いをもつ。「出家」とは何か。いかにして愛欲を去るか。仏教者の「十善行・十悪行」とは。心中の衆邪・衆魔と対決し、自身を「出塵の覚者」へと高めていくにはどうしたらいいか、等々、仏道初入の人々に自力悟達・得道の心構えと実践法をやさしく説きあかす。
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目次
●42章経本文
序
第1章 出家証果(出家たるものは須らく証りの果を得なくてはならない)
第2章 断欲絶朕(愛欲を断ちその起こるところを絶やさなくてはならない)
第3章 割愛去貧(愛着を除き、貧りを捨てなくてはならない)
第4章 善悪並明(十悪をとがめ、十善をなさなくてはならない)
第5章 転重令軽(罪の重さを軽くしなくてはならない)
第6章 忍悪無瞋(悪人の毀謗に耐えて瞋ることをしてはならない)
第7章 悪還本身(慎んで悪をなしてはならない)
第8章 塵唾自汗(天に唾し逆風が塵を空に揚ぐるに、還て我身をけがすように賢者を毀れば我身を滅す)
第9章 返本会道(志を守って道を奉ずれば、道を会し得ることになる)
第10章 喜施獲福(人の道を施すをみて歓喜すれば、福を獲ることになる) ほか
●42章経新釈
1 「42章経」の現代的理解
2 中国仏教の始まり
3 「出家」とは何か
4 「愛欲」について
5 阿羅漢果――邪念の去った心
6 衆魔・衆邪との対決
7 十善行と十悪行
8 出塵の覚者――無修・無証の者
9 仏道へ志す者への教誡
終章 仏教と中国思想の習合
書誌情報
紙版
発売日
1991年08月05日
ISBN
9784061589834
判型
A6
価格
定価:683円(本体621円)
通巻番号
983
ページ数
202ページ
シリーズ
講談社学術文庫
著者紹介
装丁: 蟹江 征治(カニエ セイジ)