
神と翁の民俗学
カミトオキナノミンゾクガク

歴史や民俗の中に登場する「翁(おきな)」とは何か。この翁は人間界に何を告げようとしたのか。著者は、日本の神の多くは翁の姿でこの世に現われ、また神から翁への展開というモチーフが日本の宗教史を貫く主旋律であったと主張する。さらに「神」が老体の翁であるのに対して、「仏」はなぜ青年の姿で表現されるのかという対照性の命題を追究する。日本人と神や仏との関係に新たな一石を投じた異色の民俗論。
- 前巻
- 次巻
目次
●1 翁と童子――その身体論的時空――
●2 古代における神と仏
1 神・仏の調和と「排仏」
2 辻善之助の「定説」
3 津田左右吉(つだそうきち)の「批判」
4 神仏の相互補完性と「祟(たた)り」の契機
5 神・仏の「習合」と国家祭祀
6 祖先崇拝と神・仏の交渉
7 シャマニズムと神・仏の交渉
8 古代氏族と神・仏の観念
9 儀礼・祭祀における神・仏の文化接触
10 「カミ」の憑霊(ひょうれい)機能と「ホトケ」の受肉機能
11 「カミ」の出現
12 「カミ」の受肉――神像の発生
13 不可視の遊幸神と可視の化仏
14 「受肉」と「習合」
●3 神から翁へ
1 「記紀」と「風土記」における「翁像」
2 神人としての化翁(けおう)
3 神像表現における翁
4 八幡神縁起における翁
5 稲荷神縁起における翁
6 翁の巫者的性格
7 海の翁
8 山の翁
9 夢と翁
10 翁の零落型
●4 メシアとしての翁――折口信夫論の試み――
書誌情報
紙版
発売日
1991年10月07日
ISBN
9784061589926
判型
A6
価格
定価:855円(本体777円)
通巻番号
992
ページ数
284ページ
シリーズ
講談社学術文庫