
現代の社会主義
ゲンダイノシャカイシュギ

東欧やソ連をはじめとする社会主義諸国に生じた政治的・経済的危機と混乱によって、社会主義は、もはや思想的にも理論的にも過去のものとなってしまったのだろうか。社会主義とは一体なんだったのだろうか。重層的な歴史の危機、主体の危機のなかで社会主義が根底から問われているいま、あらためて社会主義の思想と理論の意義と可能性の論拠を、各国の体制改革の状況と意義を考察しつつ再考する。
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目次
序言 社会主義が問われている
●1 社会主義とは
・第1章 社会主義は何をめざしてきたか
1 社会主義の多様な成り立ち
2 自然権としての共産主義思想
3 ユートピア的社会主義
4 オウエンとフェビアニズム
5 マルクス主義
●2 社会主義の理論
・第2章 マルクスの社会主義
1 唯物史観の形成とその公式
2 唯物史観による社会主義論
3 経済理論からの寄与
・第3章 社会主義論の新展開
1 ソ連型社会の危機
2 マルクス主義正統派理論と労働者の抑圧状態
3 社会主義社会の歪曲論の三類型
4 国家資本主義論と新階級社会論
5 分権的計画経済と自主管理への志向
6 商品経済の利用可能性
7 経済効率の追求をめぐる問題点
・第4章 市場経済と社会主義
1 社会主義経済不可能論
2 社会主義経済の合理的存立可能性
3 市場社会主義論の展開
4 市場と計画の関連の再考
5 社会主義経済モデルの多様な可能性
●3 社会主義はいま
・第5章 新自由主義は東欧を救えるか
1 なぜ東欧革命は起きたか
2 新自由主義の勝利か
3 東欧革命とマルクス学派
・第6章 中国の経済体制改革
1 中国経済改革の現状を見る
2 中国の経済体制改革をどう視るか
3 再浮上する中国的社会主義経済
・第7章 ソ連の経済危機と体制改革
1 ペレストロイカの課題
2 ペレストロイカの進展
3 ペレストロイカからソ連解体へ
書誌情報
紙版
発売日
1992年01月07日
ISBN
9784061590106
判型
A6
価格
定価:946円(本体860円)
通巻番号
1010
ページ数
280ページ
シリーズ
講談社学術文庫
著者紹介
装丁: 蟹江 征治(カニエ セイジ)